「エ」の音が作るイメージ | 日本語好きな人、寄っといで

「エ」の音が作るイメージ

エという音は、昔から次にあげる例のように、親しみの感じられない、ネガティブな意味を持つ語に多く使われている。

古語

えこ(ひいき)、えこじ、えずい、えせわらう、けうとし、けがれ、けしかる(異様である)、げす(下司)、げせん(下賎)、もののけ(物の怪)、

げにん(下人)、けばけばし、げらふ(下郎)、げんなり、せせら笑う、

せたぐ(いじめる)、せちがう、せっつく、せぶらかす(いじめる)、えせ、せめぐ、せりかく(せきたてる)・・・

現代語

えげつない、えへへ、げひん、えぐい、けがらわしい、でれでれ、せこい、げろ、えてかって、けがす(汚す)、けがれ、けしかける、ケチ、せびる、

けちょんけちょん、ゲテモノ、げらげらエッチ、ねだる、でたらめ、

てこずる、でくのぼう、ネグる、ねじれる、ねたむ、ねばねば、、へろへろ、ねめつける、えへらえへら、アカンベー、へたばるげんなり・・・


このようなことばに「エ」音が多く使われるため、人々はエ音を聞くと心の中にそういうイメージを感じてしまうのだ。ネーミングを行うなどの際、日本人に潜むそそのような無意識な意識の存在を忘れてはならないのだ。

しかしながら、数はきわめて少ないが同じ「エ」音が「はつね(初音)、笑まう、たおやめ(か弱い女)、姫、綺麗、麗人、化粧、エメラルド・・・」など、上品さ、優雅さを思わせる語にも見られるし、「シャネル、フェラガモ、ピエールカルダン、エルメス、カルティエ」など、「エ」音があることで魅力の出た語も少なくない。


美を感じる「エ」か感じられない「エ」か、それは語が持つコンセプトや他の音相基との関係によって判断しなければならないのだ。