●流行語大賞「イナバウアー」のイメージを分析する | 日本語好きな人、寄っといで

●流行語大賞「イナバウアー」のイメージを分析する

 今年の流行語大賞に、オリンピックのフィギュアスケートで荒川静香が演じた「イナバウアー」が大賞を獲得した。
 イナバウアーは1950年代に活躍した旧西ドイツのイナ・バウアーが開発したものだが、その演技が持つ雰囲気をこの語がどの程度表現しているかを音相分析で捉えてみた。
 氷上で舞う華麗な演技の名前には <スポーティー + 高級、優雅感> のイメージがなければならないが、この語がそれをどの程度捉えているかがポイントとなる。



イナバウアー


 表を見ると、スポーティーなイメージに必要な濃い青の棒、D(動的、活性的)、E(派手さ、賑やかさ)、A(シンプル、明白)、F(軽やか、軽快感) と、高級、優雅感の表現に欲しいT(静的、非活性的)、P(暖かさ、安らぎ感)、Q(安定感、信頼感)、O(清潔感、健康感)、S(高尚さ、優雅さ)が共に高位で交じり合っているのがわかる。
 前項の「感激・感動」の例とともに、音相分析法がことばの深層にある機微の部分をきわめて正確に捉えているかがわかるのだ。