Qイメージはどんな方法でとらえたのか | 日本語好きな人、寄っといで

Qイメージはどんな方法でとらえたのか

 音相理論では、イメージという曖昧なものをどんな方法で体系化したのですか。そのポイントとなることろをお教えください。(東京港区s.高山)

 A ことばがもっているイメージをどこまでも分解してゆくと、明るさと暗さ(プラスとマイナス)の軸と、強さと弱さの2つの軸で捉えることができますが、これら2軸を組み合わせると、あらゆることばのイメージは、次の6つのパターンで捉えられることがわかります。

 1、明るく強いイメージ

 2.明るいが強くないイメージ

 3、暗く強いイメージ

 4、暗いが強くないイメージ

 5、明、暗いずれでもないが、強いイメージ

 6、明、暗いずれでもないし、強くもないイメージ

 次に、イメージと音の構造の関係を具体的に捉えるため、国語辞典から「明るい、嬉しい、にこにこ、悲しい、痛い」など感情を含んだすべてのことばを取り出して(約1300語)、その1つ1つを意味内容ごとに上の6つの箱に入れ、それぞれの中にどんな音(音相基)が多く使われているかを調べた結果、「破裂音は明るく強いことばに多い」、 「有声音は暗いイメージのことばに多い」など1つ1つの音相基がもつイメージを捉えることができました。
 これを甲類表情といいますが、1語の中に2つの甲類表情があって、両者の間に同じ表情語がある場合、共通している表情は甲類よりもさらに信頼度の高い表情だといえましょう。
 それを乙類表情と名付けました。
 そのほか、表情の一種として「情緒」というのがあります。これは、幾つかの表情語の響き合いで生まれるものとし、その種類を捉えました。

 以上の作業はコンピューターで処理されますが、それらのデーターをどう読み、どう評価するかはその言語の音用慣習や、評価者の完成や人間的体験によって判断しなければなりません。
 それはもっぱら人が行なう仕事となりますが、もしそこに評価者個人の好みや主観が入ったら評価は無価値なものとなってしまいます。
 音相理論によることばのイメージ評価は、以上のような過程と考えをもとに行なわれているのです。