「すてきな奥さん」(主婦と生活社)・・・意味と音相との見事な調和 | 日本語好きな人、寄っといで

「すてきな奥さん」(主婦と生活社)・・・意味と音相との見事な調和


sutekina_okusan

画像をクリックすると大きくなります。


 表情解析欄を高点順に見てゆくと、1つ1つの表情語がこの語の意味や雰囲気を適切な質と量とで捉えているのがわかります。
 「すてきな奥さん」は、何をおいても爽やかで清らかさを高いレベルで持つ人でなければなりませんが、表情解析欄のトップに表情語「爽やか、清らか」を掲げたあと、「明るさ」、「高級感」、「健康感」、「穏やかさ」(静かさ)、「軽快感」、「若さ」など、すてきな奥さんのイメージに欠かせない表情語を多く捉えているのに深い共感を覚えます。
 この語のうまさは、さらに高度な音相配慮があることです。
 それは「明るさ」・・・以下の表情語のポイント数を思い切り低めに抑えたことです。
 この欄で、これまで多く見てきたように、表情語のポイント数を低めに抑えると、表情語自体がもつ煌(きら)びやかさや明白さが圧縮されて、控え目で奥行き感とゆとりのある表情へと変わりますが、この語の場合ポイント数を抑えたことで「すてきな奥さん」の内面的な豊かさのようなものが伝わってくるのです。


 このような音相が、この語のどこから生まれたのか。
 それは有効音相基欄が示すように、次の音相基によるものです。

  1. 無声音の多用。(この語は拍数対比で63% → 標準は47%)
  2. 無声化母音の多用。(この語は拍数比で39% → 標準は12%)
    無声化母音とは、母音iとuが、前後にくる子音の種類によって軽やかでモダンな音相に変わるものをいいます。
    この語の場合は、「ス、キ、ク」の母音「u.i.u」がそれに当ります。
  3. 多拍であること。(8拍)
    8拍以上の語を多拍語といいます。多拍語は、存在感や奥行き感のイメージを作ります。

 このように、音相分析はネーミングが伝えるイメージを客観性の高い「大衆の平均的感性」で捉え、それと商品コンセプトとを対比しながらネーミングのイメージ伝達効果を評価するもので、これからのネーミング制作にとっては欠かせられない技術といえるのです。