「ヤフー」と「グーグル」のイメージ差…ディテールは音相分析でしか捉えられない | 日本語好きな人、寄っといで

「ヤフー」と「グーグル」のイメージ差…ディテールは音相分析でしか捉えられない

 これらの語に何となくイメージの違いを感じても、それをことばで言い表すのはたいへん至難なことといえましょう。

 だが音相分析を行うと、それぞれの語がもつイメージの違いを明白なことばを使って取り出すことができるのです。

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yahoo

google
(注)表情解析欄の青い棒グラフは、次の違いを示します。
濃い青 ・・・ 「活力感、若さ、シンプル感、現代感」など、明るさや活性感などプラス方向を向く表情語。
淡い青 ・・・ 「高級、優雅、落ち着き、安定感」など、静的または非活性的なマイナス方向の表情語。
中間の青 ・・・ プラス、マイナス、どちらにも機能する表情語。
ヤフー(YAHOO)
 表情解析欄を見ると、「シンプル(A)」、「派手(E)」、「軽快感(F)」、「活性感(D)」など、明るく単純なイメージを作る「陽」の表情語を高点に置き、それに続いて「信頼感(Q)」、「非活性感(T)」、「高級感(R)」など、複雑、多様なイメージを作る「陰」の表情語を並べた、はば広い表現域をもった語であることがわかります。
 この語は3つの音(3拍)でできています。
 3拍以下の語を少拍語といいますが、少拍語は音の数が少ないから単純なイメージしか伝えない語が多いのですが、この語はわずか3拍でこのような複雑、多様な内容を伝えているところに顕著な特徴があるといえるのです。
 このような表現域と奥行き感をもつ語を見つけた制作者の音相感覚は見事というほかありません。

グーグル(GOOGLE)
 「ヤフー」とは反対に、表情解析欄のトップのところに複雑多様なイメージを作る「陰」の表情語、「静的(G)」、「信頼感(Q)」、「充実感(R)」、「優雅さ(S)」を置いたあと、明るくメカニックなムードを作る「陽」の表情語、「派手(E)」、「シンプル(A )」、「新奇さ(C)」、「進歩的(B)」を並べています。
 この語は、ソフトな表情語が高点部分にあるため、情緒解析欄に多くの情緒語が出ているところに「ヤフー」との大きな違いが見られます。
 「ヤフー」と「グーグル」は、共に「陽」、「陰」両面を捉えながら、「ヤフー」は技術のイメージを作る「陽」の方に、「グーグル」は情緒を作る「陰」の方に軸足があるのも大きな違いといえましょう。
 だが、2つの語の間には顕著な共通点があるのです。
 それは、表情語の最高ポイント数をどちらも60以下と低めに抑えたところです。最高ポイント数を抑えると、語全体から単純さや軽薄感が消え、代わって重厚感や存在感が生まれます。
 両語はそういう効果を使って、共に存在感や社格の高さを表現しています。
 いずれ劣らぬ、見事なネーミングといってよいでしょう。