JR(ジェーアール)を分析する ・・・公共意識や庶民性が聞こえない | 日本語好きな人、寄っといで

JR(ジェーアール)を分析する ・・・公共意識や庶民性が聞こえない

 このようなアルファベット(記号)を組み合わせたネーミングでも、記号には音があるから普通のことばと同様、表情や情緒を伝えます。
 「ジェーアール」という音がどんなイメージを伝えるか、音相分析してみました。

画像をクリックすると拡大します

JR

 表情解析欄を見ると、高尚優美なイメージを作る表情語、「高級感」(R)、[安定感](Q)、[暖かさ](P)、[優雅さ](S)が並び、それらを裏付けるように「情緒解析欄」には「長期的」「穏やかさ」「夢幻的」「大らかさ」などの情緒語が出ていて、気品や安定感をハイレベルで表現した語であることがわかります。
 だが、公共的な事業名の場合、情的なアピールよりも大衆性(庶民性)や公共意識や未来志向のムードなどを優先して表現すべきではないかと思います。それらを表現するには、表情語の

「躍動感」(B)、「新鮮さ」(C)、「活性感」(D)、「個性的」(K)、
「強さ」(L)、「庶民性」(M)

 が高点でなければなりませんが、この語ではこれらがすべてゼロ・ポイントになっています。
 企業の実態からうけるイメージと、音が伝えるイメージの間にこのようなズレのある語は、伝わるイメージが不明瞭で、人の心を捉えないネーミングになってしまうのです。

 このような音相が生まれた原因として「有効音相基欄」では次のものを上げています。

有声音が多いこと
 通常の語の場合、拍数対比で53%が標準ですが、この語はすべての音(100%)が有声音です。有声音が多いと語全体に安定感や優雅さが生まれますが、同時に活性の低さや、暗いイメージも伝えます。
調音種比が低いこと
 喉頭音や破裂音などを調音種といますが、調音種の種類が少ないと活性感の低さや片よりのあるイメージを作ります。調音種の種類の数は、5拍語の場合は4音種が標準ですが、この語の場合は3音種しかありません。
逆接拍が多いこと
 逆接拍とは、子音と母音の明るさが+と-の反対方向を向く拍(音節)をいいます。標準は拍数対比で23%ですが、この語では2拍(ジェとル)あって40%を占めています。